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自動車産業の変革にIDOM(挑む)私たちの流儀

初めまして。

IDOM新規事業開発室広報の長井多葉紗(タバサ)です。

10月14日に、SAP IoT Executive Summit にて当社執行役員 北島 昇 が登壇させていただきました。「Re - Design」というコンセプトで、マーケットアウト目線からいかに自動車産業の変革に向き合うかを語りました。

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北島:今回のテーマは、「Re-Design〜コンセプトの再設計で紡ぐ新たなコンテクスト〜」です。ただその話をする前に、私たちの置かれている環境についてお話しさせてください。

私たちは自動車流通を生業としており、グローバルで2400億円ほどの売上をあげています。

しかし私たちは今、このビジネスの将来について大きな危機感を抱いています。その震源となるのが、Information Technology の大きなうねりです。

ガリバーから「IDOM(挑む)」へ

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Information Technology の大きなうねりを前にして更なる飛躍を誓うため、2016年7月15日、自分たちの中心的なマインドである「IDOM(挑む)」に社名変更し、22年目にして第二の創業期を決意しました。

私たちを突き動かす強烈な危機感、それは1990年以降のIT革命によるドラスティックな産業構造の変化です。

例えば音楽はCDからiTunesになり、Spotifyになったとき、流通に与えたインパクトは甚大だったように、世の中のあらゆるビジネスがハードからソフト、ソフトからサービスへのパラダイムシフトに直面してきました。

コンピューティングリソースも汎用機の時代から10年ほどで大きな性能の進化を遂げ、並列化、SaaSクラウドサービスへと変わりました。ムーアの法則は今でも有効であると信じられています。

2013年〜2015年に国内で大ブームになったソーシャルゲームは、ゲーム体験をハードウェアをベースとした流通が支配する産業構造から完全に作り変えました。現在国内では6000億円のスマートフォンゲーム市場がありますが、その覇者はゲームメーカーではなくGoogleAppleといったOSベンダーです。

さて、それでは私たちが属する「自動車」の領域はどうなるのでしょうか。

自動車はハードウェアから「Mobility As A Service」へ

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この画像は2015年に発表されたメルセデスのコンセプトカーです。ご覧になっていただいてわかる通り、ハンドル、運転席がありません。自動車が、ハードウェアとして提供されるのではなく、Car As A Service、Mobility As A Service として提供される時代が本当に近づいていると感じます。これらを支えるのはディープラーニング、強化学習、コグニティブ、大規模並列化分散処理といった最新のテクノロジーです。

Uberのようなライドシェア、Google Car のような自動運転が台頭する世の中で、自動車流通というハードウェアのマッチングビジネスは存在感を失います。

こういった世界観を目の当たりにして、我々流通はどんなビジョンを描くべきでしょうか?

私たちが今この瞬間に賭けるのは、自動車ではなくユーザーそのものです。わかりやすく言うと「移動需要」にフォーカスする、といった方がいいかもしれません。

これは、プロダクトではなくマーケットサイドに向き合い続けた私たちリテールとしての誇りでもあります。

たちの戦略は全社のあらゆるところに浸透していますが、わかりやすい例を紹介しましょう。

チャネル戦略としての店舗「HUNT」

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私たちは年間30万台近くの自動車を扱わせていただくのですが、ほとんど在庫を持たず、2週間という限られた期間だけ手元にあり、それの需給をマッチングすることで一般消費者、業者、オークションなど最適な経路に流通させます。

お客様のほとんどは、実物ではなく画像を見てクルマを買っていくという事実から、私たちは自動車を、「在庫」ではなく「情報」という風に捉えています。

「情報」である個々のクルマは実物がなくても画像だけで売れるのですが、たくさんの情報を束ね、特定の顧客の文脈に合わせて認知できる形に再編集して、お客様の目の前に置く。

それが「チャネル戦略」です。

私たちが進めるチャネル戦略の一つに「Hunt」という店舗があります。この「Hunt」という店舗は、「おでかけのはじまり」というコンセプトで、木更津にあるイオンモールの一区画を私たちが借り切り、モール in モールの形で運営しています。

木更津するというロケーション、イオンモールという生活の場にキャンプギアやマウンテンバイクといった「おでかけ」を想起させる小物を散りばめそこにクルマを添えておく。

そうすると、自然とクルマが売れていくんですよね。

ちなみにこのHunt木更津、一番売れるクルマはレクサスです。買い物帰りのおじいちゃんおばあちゃんがフラッと立ち寄って「あらこれいいわね、くださるかしら」といって800万のクルマを買っていきます。

セールスではなくマーケティングこれが販売における私たちのやり方です。

サブスクリプション型サービス「NOREL」が生み出した新しい価値とは

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続いて、もうひとつ事例を紹介させていただきます。

今年の8月に「NOREL」というサービスをリリースしました。月額49,800円でクルマに乗れて、しかも乗換放題というサブスクリプション型のサービスです。

月額49,800円というのは安くはないですが、車検・保険・税金、全て込みの価格に「乗換自由」という付加価値をつけると考えると妥当であろう、という仮説で始めています。

まだ初めて間もないサービスですが、様々なファインディングがあります。

その一つが、「赤いクルマが出る」ということです。

自動車販売をやっていると、いつも売れるのは「白」「黒」「シルバー」です。無難な色は将来下取りに出す時の値段が高いんですね。

やはり実際にヒアリングしてみると、所有する前提だと、赤を選ぶ、ピンクを選ぶといった選択は、リスクが高いと思う方がほとんどでした。

「赤いクルマが出る」のは、いつでも乗り換えられる前提だからこその購買行動なんです。

「本当は、赤いクルマに乗ってみたかった」

私たちのビジネスはまだ始まったばかりですが、NORELがなかったらできなかった選択、できなかった生活、それが生まれたと思っていて、これは価値のあることだと確信しています。

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私たちは、自動車産業に身を置く事業者ですが、だからといってクルマにフォーカスしていません。

徹底的にお客様を見る。何を求め、何をしたら喜んでいただけるのか、そこだけを見ています。

そして、お客様のコンテキストを中心に、自動車というプロダクトを「サービス」として 「Re-Design」 していく。

いつまでも、ずっと、お客様中心。

それがリテールとしての私たちの流儀 (やりかた) です。